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「……ふぅ…」
クルトは胸をなでおろし、何とかなったことに安堵する。
「イーリス、どこも悪くなってないか」
「へーき!クルト凄い!弱いのに!さっきのは初めて見た!」
「弱いは余計だ。大丈夫ならいい、あとは方角が分からないこの砂漠をどう行くか…」
「おいコラ坊主ーーー!お前!」
二人から離れたところに飛ばされたロルフはなんとか合流する。
「ちっ、生きてたか…」
「お前、魔術師なのかよ?!」
「………」
「心底めんどくさいって顔すんな!仲間なんだから話せよ!」
「勝手についてきたオマケが何言ってんだ」
クルトが嫌そうにロルフを遠ざけていると、イーリスが先に話してしまった。
「クルトは魔法使いの弟子なんだよ!」
「おまっ」
「へ?」
「ま、魔法使い?!」
「……………なんで言った。」
「だって、ロルフは悪い人じゃないもん。今まで悪い事してきたのかもしれないけど、私、本当に悪い人だと思わないよ。」
「でもな」
「クルトは私が言ってもロルフのこと信じれない?」
クルトの言葉を遮って、イーリスはひたすら擁護する。
彼はイーリスと同じ目線になるように、片膝をついてしゃがんだ。
「………お前、それ俺が何も言えなくなるのわかってて言ってるだろ。」
イーリスの言葉はクルトに深く刺さる。今のイーリスの言葉を否定すれば、彼女を否定することになるのだ。
それは絶対に、クルトにはできない。
「…ごめんなさい……」
イーリスはクルトがちょっぴり怒ってるのがわかった。
わかると、しょんぼりして俯きながら謝った。
「……はぁ…俺も甘いな…いいよ、イーリス。お前が信じるなら信じる。」
「ほんと?」
「本当。…ただし、危害があると俺が判断したらお前の意見は聞けないからな」
「うん、わかったよ。」
2人の話が一段落。
その横で大人しく2人のやり取りを聞いていたロルフが声を張る。
「………俺抜きで俺の命のやり取りするなよ!」
「…あぁ、全部話してやる。」
「会話して!!」
「知りたくないならいい。」
「知りたい!めっちゃ知りたい!」
「…じゃ、道すがら話してやる。」
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