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「…てかなんでパパ…」
ロルフを縛って縄を切っている最中、1度切れたはずの話をまた出してきた。
「それについては後で説明する!お前俺らの旅についてくんだったらこき使ってやる。いいな」
質問については一旦保留にし、ロルフを指差し睨むクルト。一応、使えるだろうと旅に動向させることは許したものの、クルトは常に警戒していようと思っていた。
…一方イーリスは、あまり警戒していなくむしろ歓迎している様子。
「今度のボスはドラゴン好きの生意気小僧かー…ま、面白いうちは使われてやる。お前らとりあえず歩けるか?村まで行くけど」
ロルフは解放された途端、未だ目を覚まさない仲間をドラゴンを乗せるはずだった台車に乗せる。
「お前それ、1人で押せるのか」
「ん?あぁ、魔術だよ。台車に魔術がかかってんだとよ。」
「………………魔術か」
魔術、この国……グランツェーベンというのだが、ここでは魔術が法で制限されている。竜狩りや王直属の騎士、魔術師は必要時に使用することが可能とされ、それ以外の国民は身分も歳も関係なく禁止されている。………利用できるか?クルトが考えていると、
「クルトー…」
目を擦りながらイーリスはクルトの袖を引っ張っている。……時間的にも、力を使ったあとということもあり、かなりの眠気に襲われていたようだ。
「ん、ああ…ほら」
クルトはしゃがんで、背中を向けると、イーリスはまた目を擦りながらその背中に乗った。
「ん……ありがと………」
クルトが立ち上がり体勢を安定させるとイーリスは早くもすーすーと小さく寝息をたてていた。
「はー、見た目は兄妹なんだけどな」
「うるせぇ。」
2人はなるべく小さな声で話しながら暗い暗い森の中を抜けていった。
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