第2章 ラント

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「……ふぅ…」 クルトは胸をなでおろし、何とかなったことに安堵する。 「イーリス、どこも悪くなってないか」 「へーき!クルト凄い!弱いのに!さっきのは初めて見た!」 「弱いは余計だ。大丈夫ならいい、あとは方角が分からないこの砂漠をどう行くか…」 「おいコラ坊主ーーー!お前!」 二人から離れたところに飛ばされたロルフはなんとか合流する。 「ちっ、生きてたか…」 「お前、魔術師なのかよ?!」 「………」 「心底めんどくさいって顔すんな!仲間なんだから話せよ!」 「勝手についてきたオマケが何言ってんだ」 クルトが嫌そうにロルフを遠ざけていると、イーリスが先に話してしまった。 「クルトは魔法使いの弟子なんだよ!」 「おまっ」 「へ?」 「ま、魔法使い?!」 「……………なんで言った。」 「だって、ロルフは悪い人じゃないもん。今まで悪い事してきたのかもしれないけど、私、本当に悪い人だと思わないよ。」 「でもな」 「クルトは私が言ってもロルフのこと信じれない?」 クルトの言葉を遮って、イーリスはひたすら擁護する。 彼はイーリスと同じ目線になるように、片膝をついてしゃがんだ。 「………お前、それ俺が何も言えなくなるのわかってて言ってるだろ。」 イーリスの言葉はクルトに深く刺さる。今のイーリスの言葉を否定すれば、彼女を否定することになるのだ。 それは絶対に、クルトにはできない。 「…ごめんなさい……」 イーリスはクルトがちょっぴり怒ってるのがわかった。 わかると、しょんぼりして俯きながら謝った。 「……はぁ…俺も甘いな…いいよ、イーリス。お前が信じるなら信じる。」 「ほんと?」 「本当。…ただし、危害があると俺が判断したらお前の意見は聞けないからな」 「うん、わかったよ。」 2人の話が一段落。 その横で大人しく2人のやり取りを聞いていたロルフが声を張る。 「………俺抜きで俺の命のやり取りするなよ!」 「…あぁ、全部話してやる。」 「会話して!!」 「知りたくないならいい。」 「知りたい!めっちゃ知りたい!」 「…じゃ、道すがら話してやる。」
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