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「ぐるぅ…?」
「…モースか……」
更に近づくと、こちらに気付いて目を開けた。その目は森の木々の間から差し込む陽の光のように透き通った色をしていた。そして少年はそのドラゴンを見て直ぐにそのドラゴンの種類を言い当てた…と同時に異常に気付く。
「苔?が生えてるよ」
少女は不思議そうにドラゴンの所々に生えている苔を指さした
「ああ。こいつの皮膚は岩とほぼ同じなんだよ。それに、住んでいる地域が湿っぽかったり水の近くだったりするから…こうして苔が生えてくる。
……でも………」
「?」
次に否定的な言葉を言い始めようとする少年に少女は疑問の態度を示す。
「…普通もっと生えてるはず…」
「水が足りないの?」
「森の中だしそれはないだろ。……親とはぐれたみたいだしそのストレス…ここにいればそのうち____」
「…じゃあ、お母さんを探してあげようよ」
クルトの言葉を遮って、イーリスはドラゴンに触れてそう言った。それにクルトは気の抜けた声を出す。
「は、はぁ?」
「おねがい!だって、このままじゃ可哀想だよ。」
「………だめだ。行き違いにでもなったらそいつの親も困るだろ。」
ハッキリと言うクルトに、イーリスは潤んだ瞳でクルトを見つめる
「クルト…」
「ぐ…わ、わかった、わかったよ!明日の朝までだからな!ただし探しには行かない!ここで待つ!いいな?!」
イーリスに負けたクルトは若干ヤケになるが、イーリスとモースを置いていこうとはしなかった。
「わかった!私イーリスっていうの。よろしくね!」
「ぐるぅ!」
「……………………」
きっとクルトは出会って数分だというのにもう仲良くなっている1人と1匹を見て優しい気持ちになっていたのだろう。………モースの母親のことについて、思い当たる節がなければよかったのに。
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