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モースとイーリスは日が沈むまで遊んで、とても仲良くなった。
イーリスの心がいいのか、イーリスがドラゴンだからなのか……そんなことはどうでもいいか。
ただとにかく、1人と1匹は本来の目的を忘れるぐらい互いのことしか頭になくなるほど仲良くなったのだ。
月の光が木々の隙間から差し込み、森の中に幻想的で神秘的な空間が生まれる。その中心に1人と1匹はいた。
「あなたのお母さん、今頃あなたを探してるね」
「ぐるぅ…」
「…そうだね。寂しいね。」
「ぐるぅ?」
「え、私のお母さん?………わからないよ。起きたらクルトしかいなかったの。だからね………」
少女は聞き漏らさなかった。草をふむ音、衣服が擦れる音、歩いた時に流れる微かな風の音を。
「…………クルト…クルト!」
「ん…?どうした?」
彼女は咄嗟に木にも垂れて寝ていた少年の名前を呼んだ。
「…人が来るよ」
「……モースをこっちに連れてこい。見られたらまずい。」
「うん…ねぇ、こっち…」
「ぐるぅ!」
少女がドラゴンを誘導しようと声をかけた時にはもう遅く、どこかに飛び出してしまった。とても嬉しそうに、誰かに呼ばれたかのように……
「っ…!まさか……イーリス!待て!」
「あの子を止めるだけだから!」
「あぁ馬鹿!誰かに見られたら……!」
少女の足は鱗に覆われた、まさにドラゴンの足と化して追いかける。幸い、モースは体が重く思ったよりも早く走れない。その足でモースを追い越すのは容易だ。
…しかし
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