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1、不遇な発見者達
「崇人君! 今すぐ大学の部屋を用意してくれ!」
大学で宿題のレポート用の資料を研究室から拝借している時、師事している日下部義孝教授からの突然の電話だった。
「え? 教授?」
「とにかく設備が良くて広い部屋だ! 頼んだよ!」
「ど、どういうことですか?」
「説明している暇はないんだ。とにかく大発見なんだよ。もしかするとこの国の歴史がひっくり返るぞ!」
教授の言葉の後ろで大勢の人の声が飛び交っている。何か騒がしくなる出来事があったようだが、歴史がひっくり返ると言われても何が何だかさっぱりだった。
「……なにがあったんだ?」
突然の電話に理解は追いつかない。しかし教授の指示を無視するわけにもいかない。レポート用の資料探しを一度止めて、教授の指示通り大学で空いているなるべく広い部屋を教授名義で押さえることにした。
突然の電話といきなりの指示から一週間。大学の研究室は物々しい雰囲気に包まれていた。スーツを着た人や白衣を着た人、若い人から年配の人まで、様々な人が大勢大学に詰めかけて来ていた。
「これほど大きな石棺は大発見だ」
「彫られているものは一見すると模様に見えるが、間違いなく神代文字だな」
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