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炎が午前中の配達をすべて終えて配達用のミニバンに戻って来ると
彼の目の前にはパンツ一丁で羽根の生えた年の頃高校生くらいの少年が立っていた。
「探したよ、天使界の救世主よ。」
炎はその少年の姿を見て、
「かわいそうに、受験勉強に疲れているんだろ。送っていこう、家はどこ?」
そう言って彼の手をひいた。
「違う、わ・・わた・・俺は天使だ。」
この少年こそ天使界の女王ミカエルンの命のもと地上にやってきたぬぼっとであった。
「そうか、天使かぁ。分かる、分かるぞ。天使に助けてもらいたいくらい勉強が嫌になったんだなぁ。」
炎は困った人を見るとほうっておけない性分であり、少し涙ぐみながらぬぼっとの両手を
にぎりしめた。
勉強に疲れておかしくなった高校生に見えるぬぼっとは彼にとっては哀れみの対象にしかなっていなかった。
「まぁ、まず冷たいものでも。」
炎は車の中から自分が飲もうと買っておいた缶コーヒーをぬぼっとに渡した。
しかし、この缶コーヒーをぬぼっとに渡したのがまずかった。
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