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いつしか私は小説家になることを夢見るようになっていた。小学校の卒業文集には、将来の夢は小説家になることと書いた覚えがある。そんな私は、中学生になっても、高校生になっても、勉強そっちのけで小説を書き続けた。それでも学校での成績はそれほど悪くはなかったから、親に咎められることもなかった。
私は高校生の頃から、少しずつ新人賞に応募するようになった。大学に進学してからは、毎月のように小説を書き上げては、次から次へと新人賞に応募した。もちろん、書いている当の本人である私自身は、応募した作品のどれもが力作で、他のどんな応募作よりも優れていると思っている。だけど、そう思っているのは私だけで、結局のところ、一次選考すらまともに通過したことがなかった。
大学を卒業すると、数年間、大手商社でOLとして働き、結婚を機に退職して専業主婦になった。結婚して一年で妊娠し、長男を産み、翌年には長女を産んだ。私の置かれた環境は目まぐるしく変わってゆく。そんな中で、私は本を読むことも、小説を書くことも忘れてしまっていた。小説家になる夢も、私の奥底の方へと沈んでしまい、顔を覗かせることもなくなっていた。
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