第二話 憧れの私になるの。

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すると、ハイネン教官は私を連れて、施設の紹介を始める。 「ここは寮だ。男子寮と女子寮は完全に分かれている。お前はこっちの女子寮だ。起床は5時半、就寝は9時。一切の寝坊や夜更かしは認めない。発覚次第、懲罰を課す。いいな。」 「はい!」 「ここは食堂だ。食事は10分で済ませ、食事が終わったら直ぐに講義を受ける講義室へ移動すること。」 「はい!」 「ここは講義室だ。ここで基礎的な講義を聴講する場所だ。ただし、ここ以外にも様々な棟がある。そこでお前たち見習いは様々な実技科目を行う。」 「はい!」 「ここは演習場だ。お前たちは小姓になると、それぞれの専門を決めることができる。剣士や魔導士、召喚士などと言った具合だ。それぞれの専門によって、様々な演習場を使用することになる。」 「はい!」 それから教官によって様々な施設の紹介が為された。この施設は広大で、歩き回るのには一日を要したが、私たちはその施設の隅々まで見て回った。 見学が終わると、教官は私の方を振り返ってこう言った。 「お前が望むのなら、いつでも辞めても構わない。私はお前がどうしようが構わない。お前が一度外に出れば、私はまたお前に優しく接することができる。それでもやるつもりはあるか?」  私は考える。ここで外に出たところで、何にもなれず、奴隷になるか物乞いになるしかない。しかも、私を助けてここまで連れてきたあの人たちに報いることもできない。あの人たちのようになることすらできない。  私はあの時、「あの人たちみたいになりたい」と思った。颯爽と危険な場所に現われ、人々を救う。そんな英雄に憧れた。あの人たちとの約束を守って、憧れの仕事をするんだ、そう思った。 「はい!やります!」 すると、教官はこの要塞の中に入ってから初めて、笑顔を見せた。 「では、頑張れ。」 「ありがとうございます。やるからには一番になります。」 私はそう答える。 「そうか。」 その教官はそう言い、私を見たのであった。
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