第三話 「モブ」という名の仕事

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「おい、ネビル。なんで新人に何の説明もしなかった?」 そうルドルフさんが言うと、ネビルはもう一度「潜伏」と言おうとする。 しかし間に合わずにルドルフさんにがっしりと手を掴まれてプルプルと震えている。 「だ、だって。やっぱり憧れるじゃないですか。何も知らない一般人に意味不明な便箋を送り付ける影の実力者、みたいな?」 「みたいな?じゃねぇよ。そのせいで新人が困ってるだろうが。」 ルドルフさんは、背広を着た男、ネビルに拳骨を食らわす。 「あ、あの。」 僕は戸惑いながら話す。 「すまんな、新人。こいつはネビル。策略家で、クールで冷静沈着な村人Cを自称しているんだが、こういう馬鹿なんだ。」 「は、はぁ。」 僕は呆気に取られ、心の中で「どう見てもクールで冷静沈着にも見えないし、そもそも村人Cってなんだ」と思いながら、会話を見ていた。 「よろしくお願いします。私の名はネビル=フェルトホフ。簡単にネビル、と呼んでください。」 そうネビルさんが言うと、「ネビル君はこういうお茶目な人なんだ。よろしくしてあげてね。」と、背の低い温和そうな初老の老人が言う。 「僕の名前は秋月弥太郎。この中で一番年寄りの爺さんで、村人Aをしてる。よろしくね。」     
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