第二話 憧れの私になるの。

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第二話 憧れの私になるの。

001.  悪魔が、笑みを浮かべながら私の首を捻る。私は苦しさと痛みに喘ぎながらその悪魔を睨む。悪魔は苦しそうな私の顔を眺めながら両親を……  私は飛び起き、それが夢であったことに安堵する。そして、汗でびっしょりと濡れた寝間着を脱ぎ、士官学校の制服に着替え始めた。  あの悪夢の日。全てが灰燼(かいじん)に帰したあの日。そして多くの大切な人を失ったあの日。私はいつの間にか、私の頬に涙が伝っていることに気が付く。  毎度見る、赤い炎に包まれた私の村。笑みを浮かべながら村の人を無差別に虐殺する悪魔。その光景を思い返し、私は窓の外に吐く。
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