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そのため、出口…というか、裏庭の隠し扉まで何事もなく来ることができた。
「裏庭にこんな扉があったなんて…」
「…ここは普段から姫様が出入りできる自由通路となってるから、常に開けっ放しなんですよ。」
「なるほどな、いくら警備ガチガチの王城と言えども、夜になれば出入り自由ってか。」
「…うちの相棒が口悪い奴でごめんね、新太くん。」
「くっ、口悪いって…そんな言い方無いだろ、現に思ったことを言っただけなのにさ。」
馬宙と陽輝の何ともいえないやり取りに新太は思わず笑った。
「…二人はホントに仲いいんですね。」
「小さい頃からの友人だしな!大丈夫、新太も少しずつオレたちの輪に入れるさ。」
―その頃、アリゼロスの部屋―
特に命令が無かったこともあり、カシマールは騎士団長カシマールの元へ帰還していた。
『おや、カシマールじゃないか。エメラスはどうしたのだ?』
『彼なら咎人達を連れ戻しに出た所です。そもそも、あなたが差し向けたのでしょう。』
『あぁ、そう言えばボクが彼にそうしろと命じたんだっけ。まぁいいさ。それより…どうだい、兜から流れ込む無限のエネルギーは。』
『……少し頭が痛みますが、あなたから任されたことを進める上でこれといった障害は発生していません。』
『ならいい。下がりたまえ。』
―カシマールの部屋―
カシマールは部屋につくと装備を全てを外して、ベッドで横になった。
(…先程剣をぶつけてきたあの二人の剣士、どこかで見覚えがあるような気がするのは何故だ?私は王都で生まれ育ち今に至るはず…あんな田舎者と交流があったとでもいうのか?)
カシマールは自分の脳裏に微かではあるが幼き日の記憶がよぎったのと同時に頭痛に襲われた。
「私はカシマール・クレセンティアなんだ…それ以外に付けられた名など無いはずだ…」
カシマールは考えるのをやめてそのまま布団を被り、速やかに眠った。
~予告~
エメラス…新太はこの世界ではない世界から来たということが発覚し、オレと陽輝は動揺を隠せない。
新太自身の記憶をたどるため、そして何より修剣士時代から持ち続けていた錆剣の謎を解くべく、オレたち三人はある者のいる図書館に向かう。
次回〈垣間見えた古代〉
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