#15 垣間見えた古代

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―王都・スターティアの街― 馬宙達は新太と共に街を歩き回っていた。まだまだ昼中ということもあり、街は商人やら街の人の声やらで賑わっていた。 「実はオレが騎士になる少し前に立ち寄った図書館があるんだ。そこの館長は何でも知ってるんですよ。」 「へぇ~…なぁ、陽輝、行ってみようぜ。その図書館にさ。」 「…そうだね。それに僕や馬宙にとっても図書館ってワードを聞くと修剣学院で剣を振ってた時を思い出すしね。」 「………そうだな。」 馬宙と陽輝は新太の道案内に従って、王立図書館へと向かった。 ―スターティア王立図書館― 王立ということもあり、図書館はかなり広かった。無数の本棚と所狭しと並べられた本の数に三人は圧倒された。 「…ここホントに図書館なんだよな、新太?」 「…そのはずだと思います。」 ひとまず三人は館内を見て回った。この街にはここ以外にも図書館は存在していた。 数分ほど歩き続けていると、三人は怪しげな本棚を見つけた。 「…これって、まさかとは思うけど」 「どこかしらをさわったら隠し通路みたいなものが出てくるような本棚みたいだね。」 「…オレ、ここに立ち寄った時に誤ってこういう本棚の本を押しちゃったんです。」 新太が自分の体験談を喋っている中、さっそく馬宙が本棚のスイッチを押してしまった。 音こそないが一瞬で階段が出現し、スイッチを押した馬宙はそのままバランスを崩して豪快に転げ落ちてしまった。 「わぁぁっ、馬宙!大丈夫?」 「オレたちも行きましょう!」 こうして三人は隠し通路を通り(約一名転げ落ちてしまったが)地下室へと向かった。 ―秘密の地下室― 「…痛てて、軽く押すだけで作動するスイッチを作るなよ。」 「…正真正銘の地下室って感じだね。」 三人の視線の先には紅茶を飲みながらゆっくりと読書を楽しむ少女…らしき人がいた。 「む、お主ら…なぜここが分かったのじゃ?妾が本棚に作った通路を見つけたというのか?」 「「ヘイレンさん!?」」 「えっ、何?二人とも知り合いなんですか?」 「知り合いも何もこの人こそオレたちが修剣学院時代にお世話になった人だよ!」 ヘイレンは心底あきれた顔をしていた。自分が目をかけた者達との思わぬ再会に驚きと嬉しさがあったが、隣に自身の敵とも言える結晶騎士の一人がいたからだ。
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