#16 争いの種

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―スターティア近くの森― 三人は街のよろず屋で野宿に備えるための食料などを買い、宿で一泊した後、すぐに次の目的地となるピスティへと向かっていた。 ピスティは水、風の妖精達が多く暮らす小さな村で、周囲には数百年前から結界が張られ、外部から入るには森を抜ける必要があった(外から入ろうとしても真空の刃で切り刻まれる)。 で、ピスティに向かうべく森へ向かった馬宙達だったが、事前に何一つ調べなかったことが原因で、入って数分も経たずして遭難に近い状態となりつつあった。 「まいったなぁ…ピスティに向かうには森を抜けろってこと以外何一つ聞かなかったもんな~…野宿になったとしてもつける確信は今のところゼロだな。」 「やっぱりあの時少しでもお金を出して情報屋からヒント貰っとくべきだったね。」 王都をはじめとする街には必ずと言っていいほど情報屋を営む商人がいる。彼らの仕事は文字通り情報を届けることであり、続けて金を払うことで多く情報が手に入る仕組みだった。 が、まだまだ未成年の彼らに満足に聞き出せれるほどの情報を貰えるほどの金などあるはずもなく、今に至ったのだった。 「…失礼な話、オレたち今完璧な一文無しですよ。このまま進んでいったらいつか事が動かせれなくなるんじゃ?」 新太は顔を真っ青にして震え声で言った。 「それの心配は多分要らないと思うぜ。だってさ、お金なんて依頼受けちゃえばどうとでとなるんだし。」 「簡単そうに言ってるけど、依頼には内容面でキツいことだってあるんだよ?」 「例えば?」 「芋虫の駆除とかグランスワーム(芋虫をドラゴンクラスにデカくした化け物)の討伐とか?」 陽輝は真顔で現実味が有りすぎるヤバイことを言って二人を半分脅し、半分驚かした。 「どっちも同じだろ!」 「同じだったとしてもオレはパスしますよ。」 「ね、嫌だろ?だから安易に依頼がどうこう言わない方がいいよ。」 ガサガサッ……! 「「わぁぁぁぁぁっ!!」」
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