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―数日後―
馬宙と陽輝はアリーゼの命を奪った者として王都・スターティアの地下監獄に閉じ込められていた。
「…まぁ、オレ達は一応殺人をしちゃったわけだし…極刑に処されても何も文句言えないよな…」
「そうだね…だけど、ただ単に僕達に罰を言い渡しはしないと思う。どんな背景があったとか考慮してくれると思う。」
ガチャッ
『お前達二人の罪状について、報告しに来た。』
黄金の鎧に身を包んだ弓術士…カシマールは馬宙達が閉じ込められている独房の鍵を開けた。
『…そもそもあの学院は生徒会長ではなく学院長と理事長の二人で管轄するものというのに生徒会長が独断で動かしていた。というわけで、お前達は事実上は無実だ。だが…私としては殺人をしたお前達に軽くでもいいから罰を下したい。許してくれるか?』
「…ああ、分かったよ。オレ達も自分達の正義のために人の命を奪ったんだ。多少の罰を受ける覚悟くらい、できてるよ。」
「…僕も馬宙と同じ気持ちです。」
『そうか…ならば、私と一戦交えなさい!それが私からの罰だ!』
カシマールは自身の弓〈三日月の弓〉を構えた。〈三日月の弓〉はただの弓ではなく、弓自体に刃が付いてるため極論斬撃も可能な武器である。
「…どうするの、馬宙。僕達のこの剣で勝てるような相手じゃないよ!」
「それでも…ここを抜けるにはアイツと戦わなくちゃいけないだろ?」
通常ならば 馬宙達のような罪人は装備全てを没収されるが、少年少女の場合は強力な武器でも所持していないならそのまま手を縛り付けるだけで終わりだった。
「… いくぞ、陽輝。何としてでもここを出るんだ!」
「そうだね…僕らの罪の真意は僕ら自身で確かめたいから!」
『では、来なさい。しかし、罪人である以上、加減の保証は無いと思いなさい!』
「……うぉぉぉぉっ! 」
「……はぁぁぁぁっ!」
馬宙と陽輝はほぼ同時にカシマールの方へと向かい、攻撃を仕掛けた。
『その程度の踏み込みで私の弓の刃の相手が務まるとでも!?』
〈三日月の弓〉の刃は二人の剣をものともせずに受け止めた。
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