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「…ぐぉぉぉぉっ!」
「弓に…刃が付いてるなんて。」
『言ったはずです。私は咎人の反逆には容赦しないと!』
「一旦距離を取るぞ、陽輝。このまま押しきられるよりかはましだ!」
「…そうしよう!」
二人は素早く後ろに後退し、すぐさま次の手の準備をした。
『…煌めけ、三日月!』
カシマールの声に合わせるかのように〈三日月の弓〉は金色の光を放った。彼女の言葉通り、弓は三日月のような雰囲気に包まれた。
カシマールがその弓に矢を付けて射ると、その矢は三日月のように湾曲しながら馬宙達の方へ飛んだ。
「なっ…矢が」「曲がった……?」
矢は馬宙達を射抜くかと思いきや弓からの力の影響からなのか光のエネルギー体となって彼らを襲った。
凄まじい閃光と爆発は馬宙達の視界を一瞬で奪い、血こそ流れなかったが、多大なダメージとなった。
当たらなかった矢もエネルギー体となった後、周りに落下してそのまま壁やら床やらに傷をつけた。
「…一体何をしたっていうんだ?」
『お前達は聞くところによると、少々不思議な術を使うそうじゃないですか。ならばこちらとしても、それなりの策を立てるのは当然でしょう。』
「…馬宙、今あの人にあれこれ聞けるなんて思ったらダメだよ。あの人は僕らを真剣に倒す気だ。」
『…この術は、お前達では絶対成すことの出来ぬ技…咎人ごときに使うものではないですが、あなた方はただの咎人でくくる相手ではないと判断したがために使ったまでのこと。』
カシマールは術式の名前こそ明かさなかったものの、馬宙達を何やら特別扱いしているような感じだった。
「…曲がる軌道さえ読めればこんな攻撃、当たるわけないだろ!」
馬宙は剣を構え直すと、そのままカシマールに突っ込んでいった。
『…ハッ!』
ヒュン…
「なっ…だけど、オレには右目の力が…」
馬宙が右目に何かを念じようとしたとき、ビシッという音とそれに合わせて焼けるような感覚が彼を襲った。
「…馬宙、どうしたんだい?」
「…今までならすぐに発動できたのに、なんで!?」
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