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『この監獄内ではいかなる力を持つ咎人であってもその力を出そうとすれば禁忌の印による裁きの痛みを味わされるのです。』
「…つまり、ここはあんたとあんたの仲間の騎士以外にソウルスキルの発動が出来ないってことか?」
『傷つきたくないというのならそうなります。ですが、使えないわけではないというのも事実です。』
「へぇ…よくできてるよな。なら、ここはひとつ、無理をさせてもらうぞ。オレたちはここを越えたいからな!」
馬宙は右目に引き裂かれるような痛みが生じながらもその目に宿る力を解放した。
「…お前の動き、全部見えたぜ!陽輝、後ろに回り込んでくれ!」
「わかった。」
『よくも私の前で私の攻撃の軌道を読んだなどと豪語できましたね。その言葉…そっくりそのまま返してあげましょう……入り乱れろ、月の光達!』
カシマールはさらなる大規模ソウルスキルを発動させた。
〈三日月の弓〉は先程よりもさらに強く発光した。その光は刃の部分をさらに長くしたような形になった。
そうなったことで、彼女の弓から放たれる矢の量は先程の二倍近くになった。
言葉通り光の矢の雨がその場に物凄い勢いで降り注いだ。やがて、その光の矢によって、監獄の天井が少しずつ崩落しだした。
「…ここまでの術式を使えるなんて、王都の騎士は格が違うなぁ…」
「…どうするんだい、馬宙。これじゃあ光と爆発で前に進めないし、そもそもこのままだと矢で串刺しにされるのも時間の問題だよ!」
「…ぐっ。」
馬宙は矢をかわしながら必死に対抗策を練った。しかし、思考能力の源となる脳は右目の力の制御に回してしまったために、あまりいい案は浮かび上がってこなかった。
『…咎人達よ、そろそろ終わりにしよう。尋問の時間も間もなくだ。その前にお前達にこの力を見せてやったが、やはり少年相手に使うものではなかったか。』
「…諦めてたまるか。オレたちはオレたちの正義のためにここまでやって来たんだ。自分達の言い分もろくに言えずに処刑なんてゴメンだ!」
「…僕たちもあなたに対し全力で向かう以上、勝ちたいんです!」
どうにか二人はカシマールの弓に一撃を浴びせることに成功した。
しかし、光をまとったその刃は凄まじい衝撃波を発生させ、二人を吹き飛ばした。
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