#20 託された願い

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瑠菜は少しずつ涙が出てきた。もうディアンは天に行ってしまうのでは と思ったからである。 「…ディアン、私の数少ない相談役でいてくれて本当にありがとう。後は任せてくださいね。」 『…………へっ、そうだな。後は任せて寝てもいいか。こんな体じゃ無理はできねぇよな。最後にこうして嬢ちゃんと喋れただけでも十分よ。ははっ』 ディアンは少しずつ意識が薄れてきていた。もうすぐこの世との別れが近づいていた。 「…ディアン、最後に一つ無理なわがままを聞いてもらってもいいですか?」 『…ああ、いいぞ。』 「…素顔を見せてください。」 ディアンはまだ自由な腕で兜をとってみせた。その素顔は銀色の髪と赤い瞳の美男子といった感じだった。 瑠菜はその顔を見てさらに涙が出てきた。しかし、声までは上げなかった。 『…………これで、満足か?』 「はい、とても満足です。後はゆっくり休んでくださいね、ディアン。」 ディアンはそのままピタリとも動かなくなった。そう…ディアンは瑠菜に看取られ、天国へいったのだった。 瑠菜は声は出さなかったが、大粒の涙を流して、しばらくその部屋から出てこなかった。 すすり泣く声を聞いた馬宙達三人はそのままそっとしておいた。 ―その日の夜― 元から新太はすぐ寝る体質のため、夕食のあと、風呂から上がった数分後には爆睡していた。 陽輝も作戦会議でくったくたになってしまったこともあり、すぐ寝た。ただし、馬宙は寝付きが悪く起きるのも遅いため、起きていた。 瑠菜は、ベランダで星を見ながらディアンのことを振り返っていた。 「…瑠菜、大丈夫?何があったのかは聞かないよ」 瑠菜は感極まって馬宙に抱きついた。あまりにも唐突すぎたがゆえに馬宙は動揺してしまった。 「…少しだけこうさせてください、馬宙…くん。 」 (…瑠菜がこんな状態になるなんて、よっぽどすごいことが起きたんだな。でも、悲しいことなのかもしれない。) 「…ディアンが息を引き取ったんです。私の数少ない相談役だったんです。」 「…そうか。じゃ、ディアンの分も頑張ろうぜ、瑠菜。」 「馬宙くん…ありがとう。」 (待ってろよ…アリゼロス) ~予告~ ついにその姿を表した心なき騎士・クリスタラス。そして、決戦が始まる。 次回〈自由をかけて〉
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