#22 絶望の翼

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馬宙と陽輝はいつものように剣を構えて、クリスタラスと向き合った。 「いくぞっ!」 馬宙は〈ソニック〉を発動してクリスタラスの懐へもぐり込みにいった。しかし、クリスタラスはものすごい風を起こし、馬宙のコートを引き裂き、彼を大きく後ろへ吹き飛ばした。 「まさか…真空の刃を伴う風を起こせるなんて。」 『当たり前だろ?鳥ならば羽を動かす。なら、それに斬撃を付加させれば…誰も近づくことなど出来ない…』 (…なら!) 「スキルコマンド…ファイアシード・ブラスト!」 陽輝は炎の玉をクリスタラス目掛けて複数個飛ばしてみた。すると、クリスタラスは先程と同じように風を起こし、それら全てを消し去った。 「いくら遠距離でもかなりの大魔法じゃないと話にならないか…」 すると、クリスタラスは羽を手のような形に変え、陽輝に襲いかかった。しかし、ギリギリの所で、属性防御(ウォールエレメント)を発動させ、防いでみせた。 あまりにも凄まじい衝撃波で、床に一気に亀裂が入った。もちろん、壁にもそれと同じくらいの亀裂が入った。 何とか相殺できたはいいが、陽輝も後ろに吹き飛ばされ、背中を強く打った。 「馬宙、大丈夫?しっかりして!馬宙!」 「…何とか、生きてるぜ。けど、このままじゃ、勝ち目なんてねぇよな。バカみたいに強えもん…」 「やれるだけやってみて、それから言おうよ!馬宙だってここで折れたくないでしょ?」 陽輝は馬宙を叱咤して再起させた。 「そうだな…何もできずに死ぬのは、オレもゴメンだよ。なら、ここからは全力で暴れてやろうぜ!」 「あぁ、僕達の力をアイツにぶつけよう!余すこと無く、全部ね!」 二人は再び剣を取ると、先程よりさらに前傾姿勢、正面ががら空きの構えをとった。 これこそ二人が修剣学院時代に完成させたオリジナルの流儀・荒構(アラガマエ)の基本姿勢だ。 「うぉぉぉぉぉっ!」 「はぁぁぁぁぁぁ!」 二人はコートどころか自分達もダメージを受けているにも関わらず、その足を止めること無くクリスタラスに迫った。 まさに〈暴れ馬〉が二体迫ってくるような気迫だった。
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