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「いくら体が剣みたいだからって、頭がピヨれば話は別だろぉ!」
馬宙はクリスタラスの頭上に力任せに剣を振り下ろした。ガァンという鈍い金属音が鳴り、流石のクリスタラスも少し狼狽えた。
「その体が鉄だとしても、僕の炎はその体を溶かし尽くすよ!」
陽輝は炎のエレメントを剣に纏わせ、何回か体を斬りつけた。
その部分だけ赤熱したため、クリスタラスは劈く声で悲鳴をあげた。
「よし、このまま大技で片付けるぞ!」
「うん!」
「蒼天流剣技・蒼星斬!!」
「火村流剣技・紅焔斬!!」
「「はぁぁっ!」」
二人の今できる最高の技は水と炎の斬撃波の合わせ技だった。心の中で属性解放術を重ねがけで発動させていたこともあり自分達の想像の二倍以上の大きさの斬撃波が生成された。
クリスタラスもブレード状に変化させた翼で器用に防御したが、その圧倒的な力を前に押し負け、大ダメージを受けて、地に落ちた。
『…へぇ、やるじゃないか。クリスタラスを撃破してしまうほどに剣の腕を磨いたか。なら、しょうがない…』
「まだ何かする気か?」
『その通りさ、クリスタラスは元々ボクが纏う鎧として作り出したのさ。つまりはこういうことさ!GMコマンド…クリスタライズ・アブリア!』
アリゼロスのその未知の術式の詠唱の後、轟音と共にクリスタラスがあっという間にアリゼロスの鎧へと変化して、アリゼロスはそれを装着した。
その姿は騎士というよりは武装した皇帝のような風貌だった。
見るもの全てを圧倒するオーラとそれをより確かなものにする一対の巨大な翼…手に握られた剣は騎士が持つようなそれとはかけ離れた禍々しさを放った。
『予定より物語が早く進んだよ、ありがとう。では、そのお礼に、ボクのこの素晴らしい鎧の力を見せつけて差し上げよう!』
「…来るぞ。」「分かった。」
アリゼロスが一閃しただけで二人は防ぐことが出来ないほどの大ダメージを受けた。その凄まじさのあまり、二人は胸部から出血した。
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