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―一方、王城の騎士団長室―
「へぇ…君は迷い子というわけか。なら、ボクが君を保護してあげよう。ただし、ひとつだけ条件だ。ボクの物語の登場人物になってくれ。」
「………はい。」
濃いめの黄土色の髪の毛に緑色の瞳の少年はアリーゼと酷似した騎士団長と思わしき人物と契約を交わした。
そして少年はすぐさま与えられた翡翠色の鎧に身を包み、淡い緑の片手剣を腰に帯刀した。
『…それで、初任務とは一体何でしょう?』
「…下の監獄で描かれている物語に花を添えてきてほしい。無論、手段は問わないから、好きにしてきてくれて結構だ。」
『…了解しました、団長。』
―一方、馬宙達―
馬宙達は衝撃波で吹き飛ばされたことによる全身打撲で立つことができなくなっていた。
『尋問前とは言え…少しやり過ぎてしまったか。いや、彼等は罪人だ。このくらいしたところで、どうかなるわけではない。』
『…カシマール師匠、一体どういうことです?なぜ、若き咎人達を手にかけたんですか?』
馬宙と陽輝の目の前に、先程契約を交わしたばかりの騎士が姿を現した。
『…咎人達に年など関係ないだろ!それに、お前は別の任があったのでは?』
『団長からの直々の名を受け、ここに来ました。このような力の振りかざしは師匠も望んでしているわけでは無いのでしょう。ならば』
『…咎人に同情する気か!』
『…力は振りかざせばいいものではないでしょう?』
『……』
『…自分は師匠の教えを胸にここへ来た所存です。しかし、そのあなたが何故このような真似を?』
『……私の正義がそれを許さなかったからだ。』
『…ならば、このエメラス・ウィンド、あなたとの剣の立ち合いを所望します!』
エメラスと名乗る騎士は腰の剣を静かに抜いて構えた。その構えは、独特なものだった。
~予告~
突如、オレと陽輝の眼前に現れた騎士・エメラス。彼は黄金の弓使いを師と読んでいるにも関わらずその師に剣を向けた。
次回〈萌黄の旋風〉
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