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『…エメラス、キミがその術を使うとどうなるか分かっているのか?』
「ぐふっ…………」
新太は先程よりもさらに酷く吐血して、その場に膝をついてしまった。
『…ほら見ろ、ガキの分際で無理をしたから体は悲鳴をあげたのさ!オラァ!』
「がっ……」
新太はアリゼロスに蹴られて、馬宙の目の前に転がった。その姿は無惨この上ない状態だった。
全身傷と血でいっぱい、さらに虫の息となっていた。
「…新太!おい、しっかりしろよ!」
「新太くん、三人で戦うんでしょ。そういう約束だっただろ?」
「………二人とも、どうっすか、オレの技。めちゃくちゃカッコ良かったでしょ?」
「あぁ…すごくカッコ良かったぜ。」
「………よかった。んじゃ、もう自分はやるだけやったんで…ちょっと寝るっす。」
新太は少し寂しそうに微笑みながらゆっくりと眠るように息絶えた。
「……新太、いい夢見ろよ。全部終わったら…夢の感想、聞かせてくれよ?」
陽輝は馬宙の肩に手を置くと、軽く首を横に振った。
「馬宙…もう新太は起きないよ。新太は精一杯戦って疲れちゃって…口を開けれなくなっちゃったんだよ。」
「は…………………何言ってるんだよ、陽輝。ついさっきまでピンピンしてたじゃねぇか!」
「………新太は……………………死んだよ。」
「…嘘だよな、新太。起きてくれよ、なぁ…おい、しっかりしろよ!新太ぁぁぁぁぁぁぁ!」
馬宙は泣き叫んだ。しかし、アリゼロスはそんな彼の隙をついてレイピアを突き刺そうとした。
「…馬宙っ!」グサッ………
陽輝は馬宙の邪魔をさせないためにアリゼロスのレイピアに刺されてしまった。
陽輝は馬宙の目の前で膝から崩れ落ち、倒れた。
アリゼロスはただ静かに、でも嬉しそうに笑っていた。
~予告~
クリスタラスを破壊してくれた新太
最後までオレと一緒に戦ってくれた陽輝
村で帰りを待ってる瑠菜…
オレにアリゼロスを止めるように教えてくれたディアンさん
オレは全ての思いを胸に立つ
次回、最終回〈終止符〉
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