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―王都・スターティア地下監獄内―
馬宙と陽輝の目の前に現れた騎士…エメラスの登場によって、監獄内の空気は混乱に包まれていた。
「…あの騎士、オレたちを助けてくれるのかな?」
「そうだと信じたいね…だけど、鎧の装飾からして今の僕らの敵であることに変わりはないから…」
『…エメラス、咎人に同情は不要だと教えたでしょう!』
『今の自分の力を試したいんです、お願いします。』
カシマールはエメラスの強気な発言に少しだけ怯み、そのあとすぐに弓を構えた。弓というよりは双刃の剣を構えるといった様子だった。
『…では、カシマール・クレセンティア、その申し出、お受けしよう!』
(さぁ、逃げるんだ。君らの正義を証明してみせて!)
エメラスは馬宙達にテレパシーでこう送った。
『スキルコマンド…エアロエレメント…ブラスト!』
エメラスは馬宙達もあまり聞きなれない術式を唱え、その場に螺旋状の風柱を発生させた。
その風柱はカシマールを直撃し、そのまま一気に壁まで押し飛ばした。
『…ぐっ、エメラス。お前に風の術を使えたなんて…今初めて知りましたよ。』
『一気に決めさせてもらいます!』
エメラスはカシマールへ剣先を向けると、一直線に突撃していった。
『…お前は所詮私の下の階級騎士、この程度の技で追い込めたなどと思うな!煌めけ、三日月!』
またカシマールの〈三日月の弓〉の刃の部分が伸び、彼女はそのままその状態の弓を使い、エメラスの攻撃を受け止めた。
鉄と鉄、両方がそれぞれ別のエレメントを纏って強化されているため、鈍い音と激しい衝撃波、衝撃波のあとからくる強風…指示された場所へ向かっていた馬宙達にも後ろで何が起きてるか分かってしまうほどだった。
『……流石カシマール様、ここまで強いとは。しかし、ここで引くわけにはいかないんです!』
『それは私とて同じことだぞ、エメラス!私にたてついたことを今にでも後悔させてやろう!』
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