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全てはこれにて始まり終わり
初めに言っておく、これは、勇者が魔王を倒すお話。すなわちハッピーエンドだ。
だって、そうでないわけがないだろう?
「スライム族、族長、伊村!!」
「御身の前に!」
薄暗い部屋の中で、怒号とも似つかぬ声が響き、それに別の声が応えた。
「一角獣族、族長、角田!!」
「御身の前に!」
その部屋には7体の何かがいた。
「巨人族、族長、金剛!!」
「御身の前に!」
そのうちの6体は跪き、残る1体がそれらの前に立ち、一体いったいに声をかけていた。
「魔人族、族長、真方!!」
「御身の前に!」
名を呼ばれた者達は自らの名が呼ばれると顔を上げ、天よ割けよとばかりに返事をしていた。
「海人族、族長、唸祓!」
「御身の前に!」
そして、その返事は何か大きな覚悟を感じさせるものだった。
「鬼人族、族長、坂守!」
「御身の前に!」
そうして、全員の名を呼び終え、一拍おいて立っている男が言う。
「今、勇者が我らを根絶やしにしようとしている!貴様らに逃げるという選択肢はないか!?」
「ありえません!」
「たとえ何があろうと、我らは魔王様と共に戦います!」
伊村が返事をし、金剛が続けた。
「ならば今!立ち上がれ!立ち向かえ!!我はこれ以上皆を失いたくない!なれば、『生きて帰れ』!!これは命令だ!」
「「「「「「はっ!」」」」」」
そう言うと6体は駆けて行った。
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