GO MY WAY

2/110
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/110ページ
20歳の自由  誕生日。世間一般的に家族や友達が祝福をする幸せな日らしい。砂嵐がちらつくブラウン管テレビの中で知った。だとしたら、うちは異常なんだろうな。いや、その前に多分こいつは俺の誕生日なんて知らないんだろうな。 「お前等が生まれたせいで」「死んじまえ」罵倒の嵐が飛ぶ。俺の20歳の誕生日も何も変わらない。ただ、1つ変化があったとすれば、この日の夜、こいつが大好きなパチンコで大負けして、腹いせに俺の妹をボコボコに殴っていた事だろうか。 ......狂気は自分でも気づかないほど静かなものだった。我に返った時には、ぐちゃぐちゃの血まみれになった父親と言う物体が転がっていた。人間の狂気はいつ、どこで訪れるか分からない。この日の朝、こうなる事を誰が想像しただろう。ただ、妹を、明日香を守りたかった。ただそれだけだった。驚愕した妹が警察に通報し、同日の夜11時27分、俺は殺人の現行犯で逮捕された。逮捕されたのに自由になった、そんな気分だった。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!