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良くないことが起こったと分かったようで、同僚は疑い深そうに頷いた。
「いいけど……」
「ありがとう。実は……私たち別れたの」
「は?」
返事ができないのは分かる。
「甘えてくる後輩がいるんだって。その子に乗り換えられちゃった」
涙は出ないけれど辛い気持ちはある。失恋して一週間程度なので、過去というには短すぎる。
「マジ?略奪されたってこと?」
そうなのかもしれない。近くにいる相手に対抗するのは相当難しい。
「そうなるかな……私、しっかりしてるんだって」
聞いた同僚は怒ったようだ。
「しっかりしてないと困るでしょ?子供じゃないんだから。それが乗り換えの理由?
そんなタイプだったんだ。結構、好みだったんだけどな。そういう理由で別れるなら無理。最低じゃない」
会社に来る営業の中でも、若くて爽やか系の康司は、他の女性社員に人気があった。目の前の同僚も同じだったらしい。今さら構わない。かすみの恋人でなくなったのだから……
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