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「うん……もう少しで一週間。しばらく会わないと思ってたんだけど……」
康司の勤める会社は、包装紙の製造販売をしているので、彼は定期的に営業に訪れる。
「新製品、シリーズで投入らしいよ。和のテイストの包装紙。結構、出るじゃない。それで、今回一押しで営業掛けてくるみたい」
「よく知ってるね」
「先行してカタログ送ってきた。一課の課長にだから知らなくても当たり前だよ。
それなら、顔も見たくないよね……」
かすみは頷いたけれど、言葉は逆だった。
「でも、公私混同になるからいいよ。普通にする。だって、私、悪くないから」
強がりだったけれど、かすみは言った。傷ついたと見せたくなかった。そんな男性に弱い自分を教えたくない。意地だと思う
「そうだね。他の子に言っとかないと。そんな奴には出がらしで充分だって」
ひどいことを言う同僚にかすみは笑った。
営業が終わった後、康司が営業二課に寄っても、かすみは顔も向けないで、パソコンの表を見つめていた。視線を感じる。見ているのが分かる。でも、無視をした。もう他人だ。
同僚の女性たちの視線は無視できなかった。給湯室でかすみは事情を説明した。
呆れた彼女たちは、今までの最低男のリストで盛りあがった。聞くかすみも笑った。駄目な男に傷ついたのは、かすみだけでないと思うと少し気力が湧いた。
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