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「貴方こそ、どなたですか?」
「彼女の……かすみの恋人ですよ」
その言葉に思わずかすみは反論していた。
「違う……違うんです。この人、もう別の相手がいるんです」
誤解されたくない。かすみは必死に言っていた。聞いた男性が微笑んだ。
「彼女はそう言ってますが」
言われた康司は気まずそうに視線を泳がせた。
「付き合ってない。かすみ、少し話せないか?」
かすみは嫌そうに首を振った。その言葉の意味も知りたくない。今さら話すこともない。
「いや。もう話したくない。終わったんだから」
康司に触れられるのも嫌になったと察してくれた男性は、彼女を促して歩きだした。
「あ、おい、勝手に行くな」
男性は振り返って静かに告げた。
「彼女は過去にしようとしている。それをかき乱す権利は貴方にはないはずです」
「……っ」
言い返せない康司を置いて、二人はマンションへと入っていった。康司が睨むように、かすみたちを見ているのは分かったけれど無視した。
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