第一章 雨の日の出会い

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 「石川かすみです。事務員です」  かすみの自己紹介に、直弥は優しく微笑んできた。  「こんな事務員さんがいたら、会社に行くのが楽しみになりそうですね」  お世辞に赤くなった。でも、彼に言われると素直に嬉しかった。  「コーヒーを飲んだ後、三階まで送りますよ。石川さんは何時に出勤されるんですか」  不思議だったけれど、かすみは素直に出勤時間を教えた。  「そうですか……もし、時間が合ったら一緒に出勤しましょう。今の男性がいたら大変だから」  優しい言葉に、かすみの声は(はず)んだ。  「いいんですか?」  「ええ、ぜひ」  直弥の言葉に、甘えたい気持ちになったかすみは頷いていた。
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