第二章 雨の夜の告白

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 「早く終わらせてね。私、本当に嫌だから」  そう言ったのに康司は聞いていないようだった。かすみと、もう一度話せるという事実に浮かれている。余計に失望した。自分の行動を忘れて平然としているのは、本当に悪いとは思っていないから。  新しい恋人と問題を起こして、かすみに泣きついてきたのだと分かる。あわよくば復縁を……と。  かすみに、そのつもりは全然なかった。  「そう言うなよ。ここのラテ(うま)かったよな。かすみ、よく飲んでたじゃないか」  それは事実だった。駅前で待ち合わせる時、この店でカフェ・ラ・テを飲むことが多かった。コーヒーもだけれどミルクが特製と聞いた。康司も気に入っていた。    だから、かすみは別れてから一度も店に入っていない。久しぶりだった。でも、今日は、カフェ・ラ・テを飲む気分でない。ブレンドコーヒーを注文すると、康司は不審そうにかすみを見た。  「ラテ、飲まないのか?」  「何、飲んでもいいでしょ?今はコーヒーの気分だから」  運ばれたコーヒーに何も入れないで飲んだ。康司が嫌そうにかすみを見つめた。  「ミルクくらい入れたらどうだ」  「勝手でしょ」
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