第二章 雨の夜の告白

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 今までと違うかすみの態度に少し苛立(いらだ)ったのが分かった。そのままいなくなってもらいたいくらいだ。そうしてほしいと心から思った。  「ほんとに悪いと思ってんだ。もう一度やり直さないか」  「嫌よ」  かすみは一言で断った。  「そう言うなよ、な」  呆れた視線をかすみは向けた。どうして、他の女と付き合うと言って、かすみを捨てた男と復縁しないとならないのか、全然分からない。  「あのね。逆だったら嬉しい?」  言葉につまった康司だけれど、意地を張ったように頷いた。  「……あ、当たり前だろ。好きな相手にもう一回って言われたら、嬉しいだろうが」  「ごめん。それなら、私、普通じゃないんだ。全然嬉しくない」  「俺のこと、嫌いで別れたわけじゃないだろ?」  呆れるような質問に、かすみは悲しくなった。当たり前だ。かすみは恋人と思っていた。  でも、そう思っていたのはかすみだけ。相手は別の女と付き合っていた。二股……嫌な言葉が心を()ぎった。
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