第二章 雨の夜の告白

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 かすみは、急いで浴槽にお湯を()めると、直弥に、入ってほしいと言った。女性の部屋で風呂に入ることに、直弥は少しためらったようだけれど、かすみは強引にバスルームへ連れていった。  「お願い入って。少し高めの温度だから気をつけて入ってね」  言うと抵抗しないで直弥は頷いたので、かすみは脱衣所から出た。  クローゼットから新品のスウェットシャツとパンツを出した。恋人が急に泊まっても大丈夫なように準備していた。  そんなことは起こらなかったから、クローゼットに入れたままだった。下着もある。  用意を欠かさないかすみを、康司はしっかり者と()めたけれど、破局した今となっては笑うしかない。でも、その慎重な性格を良かったと思った。  少なくとも、濡れた服を着て体温が奪われる心配はいらない。  脱衣所に入って、濡れた服をランドリーボックスに入れた。後でクリーニングに出すか、そのまま返すかは分からないけれど、どちらでも大丈夫。代わりに新品の服をカゴに入れた。
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