第二章 雨の夜の告白

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 そして、ホットレモネードの準備をした。身体の中からも温めてほしかった。部屋の温度も少し上げた。  待っていると、直弥がリビングのドアを開けて入ってきた。温まったからなのか、少し顔色が良くなっていた。安心したかすみは、ホットレモネードの入ったカップを直弥に渡した。  「少し熱いから気をつけてね。ホットレモネードよ」  「……ありがとう……」  言いながら直弥は素直にカップを受け取ると、軽く息を吹きかけながら少しずつ飲みだした。身体が温まったらしく、小さく息をついた。    彼が猫舌だとは知るけれど、身体が冷えている時だから、かすみは熱めのまま渡した。正しかったと思えると安心した。  かすみは、急いでバスルームに向かった。出てくると、直弥はホットレモネードを飲み終えていた。  二人の間に中途半端な沈黙が落ちた。かすみは、直弥に何があって、ずぶ濡れになったのか知りたかったけれど黙っていた。  直弥に、雨に濡れても動けないほどのことが起こったのは分かる。少し親しくなった程度のかすみに、(たず)ねていいのかためらわせた。
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