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どのくらい沈黙が続いたのか、時間の感覚が分からなくなるほど動かなかった直弥は、やっと息をついて話し始めた。
「今度の日曜に約束したのは、今日まで入院の予定だったからなんだ」
「入院……直弥さん、どこか悪いの」
病気と聞いたかすみの表情が強張った。直弥が病気……考えもしなかった。会社の用事だと思い込んでいた。
「肝臓が……でも、普通の治療をしても意味がないんだ!」
かすみの心臓が嫌な音を立てた。
寒さを感じなくなる。普通の治療が無意味。恐ろしい予感が身体を震わせた。
「分かったよね。僕は肝臓がんなんだ」
かすみの喉が鳴った。信じられなかった。直弥はかすみよりも数歳年上にしか見えない。そんな若い人が、がん……
「嘘でしょ?お願い、嘘って言って!」
叫ぶようなかすみを、直弥はもう一度抱き締めてきた。
「僕も嘘だって言いたいよ。良くなるって信じてたから、かすみと約束したんだ。なのに……」
かすみの瞳から涙が溢れて止まらなかった。
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