第二章 雨の夜の告白

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 ***  次の朝、天気予報のとおり雨がやんでいるのが分かった。窓からは、名残の雨が朝日に輝いている。  かすみは、直弥の胸の中で目覚めた。温かい身体に笑みが浮かんだ。直弥は生きている。心臓の鼓動が規則正しく聞こえる。  何度も抱かれた身体は、心地良い倦怠感(けんたいかん)に包まれていた。  かすみが動いた刺激で直弥が目を()まして、腕の中に彼女を包み込んできた。  二人は、相手をよく知らないで身体を重ねた。  かすみは少し赤くなった。今までは、きちんと交際を始めて相手をよく知ってから、そういう行為に至っていた。でも、昨夜は今までの行動を取っていなかった。  絶望に染まった直弥を見て、かすみは、なんのためらいもなく彼に抱かれた。抱いたのかもしれない。二人の身体は深く繋がり(から)み合った。相手との境界が消えてしまったかのように……  軽い微睡(まどろみ)に入ったかすみだったけれど、直弥の身体が硬直したのが分かって、驚いたように顔を向けた。  「どうしたの?」  不思議そうに()くと、直弥は罪悪感の(にじ)んだ表情でかすみを見た。  「避妊を……」  「ああ。いいの、そんなこと」
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