第二章 雨の夜の告白

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 かすみは直弥にもっと近づいた。肌が密着する。  「責任なんて聞きたくない。  お医者さまの言うことは絶対じゃないわ。私の祖母も余命三か月って言われたけど、一年以上生きて驚かれたんだから。  直弥さん、(あきら)めないで治療を受けて。私、直弥さんと少しでも長い時間、一緒にいたいの」  かすみの言葉に、直弥はためらっている。  「僕だって、ずっとかすみといたい。でも、本当にいいのかなって……」  「私がいたいの。お願い、いさせて……」  ためらっていた直弥が強く抱き締めてきた。  「……ずっと傍にいてくれる?  かすみと一緒にいられるなら、きっと頑張れる。治療も受けたいって思えてくるよ。いいの?」  直弥に包まれたまま、かすみは頷いた。少しでも多くの時間を彼と過ごしたかった。
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