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「一緒に暮らしてくれる?」
約束どおり、かすみの淹れたコーヒーを飲みながら直弥は言ってきた。
かすみは頷いた。拒否する理由がない。二人は同じマンションに住んでいる。でも、違う階。少しの時間でも離れていたくなかった。
「私も直弥さんと一緒にいたい……」
少し恥ずかしそうに言うと、直弥は嬉しそうに微笑んだ。
その日のうちに二人は、かすみの荷物を七階へと移動させ始めた。
男性と暮らすのは、当たり前だけれど初めて。でも、ためらいはまったくなかった。ほとんど知らない相手だけれど、かすみは彼を受け入れた。子供が出来ることも願った。
そして、直弥は余命を宣告されている。時間を無駄にできない。
正式退去は一か月先になるけれど、その時まで住む必要はない。重複している家具や電化製品は、後でリサイクル店に引き取ってもらうことにした。
それ以外の荷物を二人で運び、土日の二日で、ほとんどの荷物は直弥の家に移った。
空いている部屋に一時的に置いて、少しずつ片つけていく。急ぐ必要はなかった。
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