3250人が本棚に入れています
本棚に追加
***
「破局したんだってね」
会社からほど近い日本料理店。関西支社の人たちの行きつけの店だと聞いた。個室に入るなり、彼女はかすみに単刀直入に確認してきた。
「うん……完全に終わったのは十日くらい前だけど……」
「は?
聞いたのは、二か月近く前だってことだけど。揉めてたの?」
「まぁね……」
破局を同僚に話したのは、その少し後だった。花野が聞いたことは正しい。確かにその頃に別れ話をされている。思わない事態になったことを無視すれば……
「二股でどうして揉めるの。もしかして未練とか?
やめなって。まぁ、終わったっていうんだからいいけど」
花野の勘違いをかすみは訂正した。
「未練があって復縁を望んだのは向こうなの。私じゃなくて」
「はぁ?
二股しときながら復縁?冗談としては面白いけど、本気ならぶん殴るわ」
本当に殴りそうな花野を見て、かすみは苦笑した。
最初のコメントを投稿しよう!