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「康司、後輩と付き合ったんだけど……」
かすみは気分の悪くなるような事情を話していた。
「……」
聞いた花野は呆れた表情で、まず、グラスの日本酒を軽く飲んだ。
「そこまで馬鹿っぷりを発揮すると、逆に怒る気もなくなるわ。
かすみも舐められたもんね。だから、甘やかすのはやめろって言ったじゃない。今回で学んだでしょ?」
花野は、康司に尽くすかすみを心配していた。彼女の好みは尽くしてくれる男性だ。
「うん……」
かすみはあいまいに頷いた。直弥への行動は甘いのだろうか。楽観できない病状の男性を支えたいと思うのは……
「どうしたの?
今朝も変だったよね。かすみ、何を隠してるの。この際だから、はっきり言いなさいよ」
誰に反対されたとしても、直弥の傍から離れない。かすみはそう思いながら友人に、捨てられてから今までの事情を話した。
「……」
今度も花野はすぐには答えなかった。
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