となりの魔法大戦

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 なんとも、驚くべき話だが、”幻魔大魔王”は、その一族を率いて宇宙狭しと暴れる怪物なのだ。  だから羽田空港に現れたのは、本物ではなく、地球に攻めてきた、大魔王の手下が超能力で見せたその幻像だったのだが、そのあとも、ことあるごとに世界中に姿を見せては騒動を起こすのだった。  まったくもって迷惑な話だが、それもこれも、ルーナちゃんを狙ってのことだった。  なぜか、そうなのだ。  え、安易な少年漫画の常套手段、鉄板の話じゃないかって?  まあ、そういいたもうな。鉄板は、必ずしも悪いことじゃない。 「てめえら、大宇宙の大連盟ってすごい科学兵器を持った連中と戦争をやっているのだから、こんな地球なんてチンケな星を相手にしている暇はないはずだろうが」といってやったこともあるが、どうも、そうではないらしい。 ”こっちにはこっちの事情ってものがあるのだ、気にするな”ときやがった。 「気にするワイ!」 ”そんな小さなことを気にしていたら、大きく成れんぞ、ちびすけ” 「あ~それ、いうか、いうかよ、俺が一番気にしていることを~~」 「おちつけ、あの巨大な”幻魔大魔王”からすれば、人間はみんなちびすけだ」 「そのと~り」ヨコジュンの言葉に綿引”殿下”が同意する。  彼らは、”幻魔大魔王研究会”通称GENKENの仲間、野次馬連中なのだ。 「どうも、幻魔にしてみるとジュディちゃんが、よほど目障りな存在なのだろうね」  ジュディとは、ルーナちゃんの世を忍ぶ仮の名前なのだ。ルーナちゃん、あの有名なソロモン博士の娘ということで、丈たち青林学園中等部に留学してきたことになる。今、ジュディことルーナちゃんは、GENKENの影のリーダーなのだ。  あ、当然、表のリーダーは主人公の東丈なのだが。今では、そこにアンドロメダ星雲の大連盟のサイボーグ兵士ベガ、そしてNYのハーレムからやってきたスーパーブラックのサンボが加わっている。サンボが学園にやってくる顛末は、いずれアニメ映画にでもなりそうな冒険譚があったのだが、作品的にはすでにさらっと流された。NYハーレムで起こった黒人暴動で難民化したという設定だ。このサンボ、ただの黒人児童ではない、御年わずか三歳の天才児にしてテレポーター、超絶エスパーなのだ。
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