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迷走
小さな冒険から一夜明けた日曜日の朝、前の晩夜更かししたからか、目が覚めると布団の傍に置いた時計は午前9時過ぎを指していた。二度寝をしようと寝返りを打って目を閉じたが、窓から差す日の光に邪魔される。
寝起きであまり開かない目でスマートフォンのロック画面を見ると、智一から電話があったと通知が表示されていた。メッセージもなしで電話だけ来るのは珍しい。
と思っているとメッセージが来た。
内容は以下の通り。
”家に警察が来た。昨日の少年の件を聞いてきた。マルオと雅人の名前と住所を聞いて行ったからそっちにも行くと思う。”
少年の件とはなんだろう。警察沙汰になるようなことがあったのだろうか。俺は智一に次のように返信を返した。
”どういうこと?何か問題があったの?”
返信にすぐに反応はなかったので、とりあえず来客に備え着替えておくことにした。
朝食を済ませ、自分の部屋で寝転んでスマートフォンをいじっているとインターホンが鳴った。すぐに玄関に向かうと、妹がドアを開けて対応している。
ドアの外にいたのはスーツを着た二人の男性だった。一人は30代後半と言った感じの170センチくらいの身長の男性で、もう一人はもう少し若そうな見た目で色黒の160センチくらいの男性だ。
手にはドラマで見るような警察手帳があり、ちょうど名乗っているところのようだった。
170センチくらいの方がこちらに気が付き短く挨拶をして篠崎と名乗った後、俺の名前を呼んで本人か確認した。
「昨日、あなたと友人方で介抱された少年についてお話を聞きたくて伺ったのですが、お時間よろしいでしょうか。」と、篠崎と名乗る男が言った。
すると妹がこちらを振り向き怪訝な顔で、
「お兄ちゃん、何かしたの?」と小声で言う。
そんな妹に俺は眉をひそめて首を振り、心当たりがないことを身振りで示した。
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