水面

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 俺たち三人の家は、いずれも俺と智一が通っている高校からバスで20分ほどの住宅地にある。互いの家の距離もそれほど離れていない。雅人の家は俺と智一の家から中央分離帯のある大きな道路を挟んですぐのところにある。  「高校どう?まさとんこあたまいいんでしょ?」自転車を押しながら歩く雅人に智一が聞いた。  「ああ、まだ始まったばっかだしわかんないけど、中学の時よりは勉強難しいな」  「部活とか入った?」  「いいや、見学だけしてやめたよ」  「見学ってバスケ部?」  雅人は中学の頃、一時期バスケ部に所属していた。というのも、バスケ部なのに陸上部顔負けの走り込みによる体力づくりについていけず、一年の夏になる前にやめたらしい。  「バスケ部と、あとは同じ体育館で練習してたからバドミントンも見学した」  そんな会話をしているうちに歩道橋を渡り雅人の家についた。歩道橋には階段の中央がスロープになっているので自転車を押していても上れるが、かなり勾配が急なので雅人は息を切らしていた。近いのだから歩いてくればいいのに。  ちなみにどうでもよいことだが俺と智一は中学のときは弱小陸上部に所属していた。高校でも続けてもよかったのだが、俺たちの入った高校の陸上部は県内屈指の実力を誇ると有名だった。もともと陸上競技に青春のすべてをささげる気のなかった俺と智一は高校時代を謳歌すべく、帰宅部という選択をした。    歩道橋を渡り、雅人のマンションの前に到着した。  「自転車止めてくるからちょっと待ってて。」と、雅人は俺たち二人をオートロックの玄関前に待たせて駐輪場の方へ行ってしまった。  建物の影に入って道路のほうを見ると、白い線が眩しく感じる。そういえば朝の天気予報でも真夏日になると言っていたっけ。この時期にこんなにも暑いと、本格的に夏が来るのが憂鬱になってくる。  空を見上げながらため息をついていると、雅人が駐輪場から帰ってきた。
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