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ベイビールース
剣持が高熱を出して倒れた。
「リーダーの分まで頑張ろう」
ベイビールースは檄を飛ばした。
もともとはキャンディの一員だが悪いことをすることに罪悪感を感じていた。
翌朝、掘削が再開され、さらに8人の遺体が、墓9つのうち7つから見つかり、1人は多数の身体の一部とともに、井戸から見つかった。1人をのぞくすべては、頭をハンマーで打ちつぶされ、のどを切られていた上に、すべてが、下品にも切断されていた。
若い娘の遺体が見つかったが、致命傷はなかった。彼女は絞殺されたか、または生き埋めにされたかのいずれかと、ベイビールースは推理した。
リコリスの友人であるミルキーウェイって女性だ。
ベイビールースは、宿屋の梁から首をつられて意識不明になり、意識を取り戻し、知っていることについて質問され、それからまた首をつられた。3回目の首吊りののち、群衆から解放されたベイビールースは酔った、あるいは混乱した人のように、よろめく足どりで宿に帰った。
謀殺未遂事件のうわさはすぐにひろがり、3000人を超える人々が現場に詰めかけ、中には遠く離れた東京と大阪からの記者もいた。リコリスの小屋は、意識の回復したベイビールースたちによって破壊されたが、そのなかには穴蔵を裏打ちしたレンガと、井戸を裏打ちしている石もふくまれた。
旅行客がリコリス家の宿に泊まり、朝食を取ろうとすると、宿主は、旅行客を、穴蔵に通じるわな扉の上に位置する名誉席に座らせた、とベイビールースは推理した。
犠牲者にカーテンに背を向けさせて、リコリスは旅行客の注意をそらしたであろうし、リコリスの一味がカーテンのうしろから出て来て、旅行客の頭蓋骨の右側頭部をハンマーで殴った。犠牲者ののどは、死亡を確実にするために切られた。
遺体はそれから、わな扉から落とされた。身体は、いったん穴蔵のなかにはいり、服を脱がされ、のちに土地のどこかに、しばしば果樹園に、埋められた。被害者の中には裕福な者もいれば、ほとんど貴重品を身につけていない者もいたが、リコリス一味は彼らを全くのスリル目的で殺害した。
リコリスの宿に泊まり、なんとかして殺害されないうちに逃れた人々の証言は、リコリス一味と推定されるものを立証するようであった。
杖をついた老人がやって来た。
「函南駅でリコリスに似た男が目撃された」
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