ビスケット

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ビスケット

 東京の人間を何故殺したのか?少しでも東京の人間が死ねば、地方出身者が進出しやすくなる。  ビスケットはタフィに共感していた。  ビスケットは茨城出身って理由でゲーム会社『病気』から拒否られた。  ビスケットはまだ一人も殺せていない。 「気にすることないって、碧海島行きのチケット買っておいたから」  タフィは27歳になるそうだ。 「熊野ってのは冥界と繋がってるんだ」  ネット喫茶の個室ブースでタフィが言った。 「ゾンビとか見たことある?」  ビスケットは尋ねた。 「海外の化け物はいない、河童なら見たことあるよ」 「へぇ?ウチのパパ、ツルッパゲ、毎日見れるよ」 「ハハハ!」  タフィはビスケットの乳首を舐めた。  「小さくて困っちゃう」 「気にすることないよ?」  2027年5月21日のことだった。  碧海島へとこれから向かう。  竹芝まではレンタカーで行く。  ビスケットは、隣人の16歳の根本ネクターをレンタカーに誘い込んだのである。  アメリカ人とのハーフで、ネクターは蜜って意味がある。根本からはゴミの出し方などを注意されていた。 「碧海島ですか?誰を殺そうかな?パパを殺してもらえない?東大に受からなかったら何をされるか分からない」  ネクターはタフィとビスケットにハンマーで殴打された後衣類を口に詰められ、まもなく絶命した。  碧海島の東エリアの排水路に死体(身元特定が困難になるよう顔と性器を酸で焼いてあった)を隠した後、身代金目的の誘拐だったように見せかけるため入念に工作した。 「根本の根本はなくなった」  ビスケットは女みたくなったネクターの性器を指差してジョークを飛ばした。 「笑えねー」  タフィは苦虫を潰した。 「根本家は裕福よね?3億も要求しておけば、もっともらしく見えるでしょ?」  「頭が冴えてるな?」 「そう言ってもらえるとうれしいなぁ、ネクターの不幸は蜜の味」 「それにしても、根本っておっさんも息子から殺してやりたいくらい恨まれてるなんて思わないだろうな?」 「恨むとゆーより、うっとしいんじゃない?言ってることは正しいし?いい人でも殺してやりたいって想うことはあるからね?」  血液の匂いのするレンタカーの中でタフィはビスケットにクンニをしてやった。  2028年12月29日、ビスケットが何者かに射殺された。彼女は庭の手入れをしていた。
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