リコリス

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リコリス

 2041年5月にゼリービーンズという名の男の遺体が、頭蓋骨をつぶされ、のどを切られて、碧海島にある福祉施設虹から発見された。虹の所有者のリコリスが犯人として疑われたが、逮捕されなかった。  2042年2月に、ゼリービーンズと同じ負傷のある、2人の男の遺体が見つかった。  2043年までに、この地域を通過した者が失踪するうわさが広まり、旅行者らはリコリスを避けはじめた。地域はすでに『二次感染』と噂された。自警団がしばしば失踪のかどで職員を「逮捕した」が、その後、リコリスらは当局によって釈放された。疑いをかけられている多くの誠実な男らもまた、これらの自警団によって島から追い出された。  2043年冬に八阪幸男と、その娘、幸美は、伊豆に落ち着くために、渋谷を立ち去ったまま消息を絶った。  2044年春に、八阪幸男の元隣人、沢井誠太郎は、彼らを捜しに行き、海岸沿いの街に到着し、そして3月9に渋谷への帰途についたまま消息を絶った。  3月28日に、剣持は坂井和子という人物とともにリコリス家の宿に到着した。剣持は一家に友人の沢井が行方不明になったと説明し、沢井を見たかどうか訊ねた。彼らは、沢井誠太郎が自分たちのところに泊まったことを認め、彼がギャングとトラブルを起こした可能性を示唆した。剣持は、それはあり得ると同意し、夕食のためにとどまった。  4月3日に剣持は、坂井和子がリコリスにナイフで脅されて宿屋から逃げたと知らされ、武装した男らとともに宿にもどってきた。  和子の正体はメントス、厩で白骨死体が見つかった。それは紛れもなく、ウィスキーボンボンとラムネだった。  剣持が女性の主張を繰り返すと、リコリスは激怒し、「その女は幻覚を見たんだ」と言い、男らに立ち去るように命じた。  剣持は宿から立ち去る前にリコリスから翌日ひとりで戻ってくるよう頼まれた。  そして逃げたと思っていたメントスと洞窟で合流、千里眼能力を用いて沢井や八阪を探すのを手伝おうとした。リコリスの同行者らは、リコリス家の人々と隣のジンジャーブレッド家は罪を犯していると確信し、彼ら全員を首吊りにしたかったが、剣持は証拠を見つけねばならないと主張した。
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