ふたりはそれを恋と呼ぶ

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(・・・キャーッ!バカバカバカ、何思い出してんの私!) 巴は慌てて、目の前に広がるみなとみらい地区の夜景に視線を移した。 思えば不思議な話だ。 6才年上で、同じ職場で働いているという接点しかなかったはずなのに。 付き合いはじめて、より深くお互いを知り合って。 いつの間に、こんなに大切な存在になっていたんだろう。 仕事より自分を選んでほしいと願ってしまうほどに。 それでも、確信が持てない時がある。 自分はただ、彼に女性として扱ってもらえることに酔っているだけなのかも知れない。 自尊心を満たしてくれるから、彼を好きなんだと勘違いしているのかも知れない。 どんなに彼が優しくしてくれても、ささいな事ですぐ揺らいでしまう。 もしも恋が目に見えるモノだったら、こんなに不安にはならなかっただろうか。 そうしたら、慎一郎にあんな事を言わずに済んだかも知れない。 あーでもないこーでもないとイジイジ考えていた巴は。 「・・・・・・巴」 「・・・ふあっ、ひゃい」 ―ものの見事に噛んでしまった。
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