ふたりはそれを恋と呼ぶ

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―今日は楽しかった。 目の前に広がるみなとみらい地区の夜景を眺めながら、慎一郎は今日の出来事を振り返っていた。 沢山食べて、沢山歩いて、沢山笑った1日だった。 巴が先日の発言を引きずっているんじゃないかと内心少し心配だったのだが、おそらく大丈夫そうな様子だった。 美味しそうに食事を食べ、咲き誇るバラや横浜港の景色を見て笑っていた彼女。 久しぶりに見るその笑顔は、輝くように明るく、可愛いらしく、周囲に人目がなければ艶めくその唇に口づけていたに違いない。 ちょっと待て。 人目がなければ、何だって? (今、相当気が緩んでいるな) 彼女と一緒にいるとどうも自制心が働かなくなる。 自分がこうなったきっかけはやはりあの箱根温泉1泊旅行だな、と慎一郎は思った。
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