国の法律により、ハムスターと結婚しました。

1/1
前へ
/212ページ
次へ

国の法律により、ハムスターと結婚しました。

日本ではその症状に、恋愛結婚憧憬症候群と名前が付けられた。 主に日本人に起こる、恋愛に理想や妄想や憧れを抱くために起こった一種の白昼夢。 『ブライダルブルーシンドローム』とも言われている。 簡単に言えば恋愛結婚に憧れるために『お見合い相手が、動物や無機物、人外に見える』 2×××年。  日本の人口が5000万人を切ってしまった未来。  国が相性のいい相手とお見合いさせる法律が設立。 人間は唯一、感情で相手を選ぶ動物である。本能だけではなく理性が動く動物である。 16歳になったら第一段階目のお見合いが始まる。 大学には保育所が完備。大学に行きながら子どもを育てた場合、国からお祝い金と補助金も出る。 私のお見合い相手は、ハムスターでした。  小動物に見える場合は、恋愛結婚憧憬症候群は軽症らしい。 人外や無機物に見える場合は重症とか。 「流伽ちゃん、大変。俺、お見合い相手が人魚に見えた」  幼馴染は重症みたい。 「流伽……私の相手は、私がパソコンに見えるらしい」  親友の相手が重症でした。 「俺には流伽が、流伽に見えるよ」 両手を広げたハムスターは、すごくセクシーな声でそう言った。 けれど私には、ハムスターがちょこんと立っているようにしか見えなかった。 それはもしかして起こるかもしれない、遠くない未来の話。 恋愛に憧れる高校生たちの恋愛模様。
/212ページ

最初のコメントを投稿しよう!

190人が本棚に入れています
本棚に追加