立崎 流伽の場合。

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「彼の歳は十八。今まではお見合いは免除されていた。彼の場合は、もうお見合いしないかと思っていたの」  体育館の入り口で仲人さんは立ち止まって、少し目を伏せた。 「お見合いで結婚した人たちが、離婚する確率は三パーセント。わずか100人に3人なの。信じられる?」 「離婚率の低下は教科書で習いましたよ」  それを考えると、お見合いの義務化って成功なのかなって思う。  でも仲人さんの顔は急に悲し気になった。  今にも泣き崩れそうなほど、目を潤ませている。 「離婚したら、莫大な補助金が停止される。ただし子どもを産んでいた場合、引き取った親には引き続き援助はある」 「補助金が停止されたくなくて離婚できないって問題ですか」  それなら昔、ニュースで少しだけ話題になったことがある。  補助金目当てで結婚し、子どもを授かったために子供に愛はなく虐待を受けていた子がいたとか。 「――虐待を受けていた子は、父親や母親になりたくないって意志があれば免除される。でもそのトラウマを跳ね返し、指名できる立場の子もいる」
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