立崎 流伽の場合。

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「……ん?」 体育倉庫の中は、埃臭い。地面にマットが開いて置かれ、端には体育で使うボールやバレーの柱など並んで、折りたたんだマットもある。  中央に置かれたマットはいったい?  2メートルの相手は? 「あの、私の相手はどこでしょうか?」  隠れる場所のない体育倉庫の中見渡すと、仲人さんは目を見開いた。 「マットの上でブリッジしてるじゃない」 「なんでブリッジしてるの?」  指名した相手に、ブリッジしながら挨拶したの?  訳も分からずマットを見ると、中央にちょこんと小さな生き物が見えた。  お腹を見せてこちらを見上げている。 「……えええ」  茶色いぶちのある、ハムスター。  私の目の前には、つぶらな瞳の可愛いハムスターがお腹を見せて短い両手足でブリッジをしようともがいていた。 「ハムスター!?」 「ハムスター? 俺、似てるかな。ってか名前、覚えてる? 俺、花巻 一慶(いっけい)」 「は、ハムスターが喋った!」
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